2011年10月09日
「アイ・サット」「サンダーン・マー」
5歳になり、幼稚園の年中クラスになったミックは、入園当初の心配はどこへやら・・・すっかり学校にも慣れて、幼稚園生活をエンジョイするようになった。
しかし、それとともに増えて来たのが、子供たちの間で使われる語彙の数々・・・・。
もともと、田舎の村立小学校の付属幼稚園なので、一歩足を踏み入れれば、そこはもう『イサーン語ワールド』。
一応先生方も気を遣ってか、外国人の私には、標準語のタイ語で話しかけてくれるので、授業中などはまさか、標準語で教えるだろうと思っていた私の予想とは違い、普段の会話もイサーン語なら、授業中はもちろん、保護者のほとんどが地元の村人なので、保護者会や各種イベントでの司会や挨拶も、バリバリのイサーン語で進行する。
そういう状況なので、ミックの中でイサーン語の語彙が増殖するのは自然の成り行きだが、それ以上に、子供同士の口喧嘩から得た成果か、ミックの罵詈雑言は日増しに凄くなっている。
まず、学校で友達同士が喧嘩したり、ふざけて言い争ったりしているのを、しっかり聞いてきて、家に帰ってきてから、我が家のメンバーでも特に口の減らない長女相手に、その復習をするのである。
たまには、一人芝居のように、独り言でブツブツ何かつぶやいていることもあるが、そういう時は決まって、イサーン語と罵声が混じっている。楽しい幼稚園生活を思い出して再現しているのかも知れない。
そこで、最近のミックの定番が、
「アイ・サット」である。
何か、気に入らないことがあると、すかさず吐き捨てるように、「アイ・サット!」。
兄弟げんかで、勝てないときも「アイ・サット!」。
父親に怒られて、気が収まらないときも「アイ・サット!」・・・・。
「アイ」は、標準語の「~野郎」「~な奴」の意味。
「サット」は、「動物」という意味だが、ここでは「畜生」と言った方がしっくり来るかもしれない。
日本語なら、「今畜生!」とでもいう感じだろうか。
これが出ると、我が家のメンバーは皆、「あ~あ、またミックの罵言が始まった・・。」と呆れ顔になる。
まだ幼稚園児だから許されるが、これがいい若者だったら、相手によっては命を落としかねない、見ず知らずの他人相手に簡単に発するべきではない、いわゆる禁句である。
そして、中間休みに入ったころから言い始めたのが、
「サンダーン・マー」。
これは以前書いた気がするが、私たちがここに越してきたばかりの頃、近所の兄妹の妹が兄に向かって吐いた罵声である。
私は、その頃意味がいまひとつ分からず、急いで辞書で調べたりしたものだから、今でもしっかり覚えている言葉なのだ。
「サンダーン」は、「性質」とか「性格」と訳されているが、ここでは「性根」と訳したほうが分かりやすいと思う。
「マー」は、カタカナ表記だと声調が分別できないので、「犬」か「馬」かはっきり分からないが、「犬」の意味の「マー」である。
「犬」はタイでは、飼い犬というより野良犬のイメージが強いので、「犬」と言えば、「弱いくせにすぐに吠え、ゴミ箱を漁り、いつもゴロゴロ寝ていて、あたり構わず発情し、人目も気にせず交尾する」・・・等々、とにかく野卑な生き物としての認識が強い。
普段、人間の一番近くにいる動物であるが、それと同時にタイ語で「犬」と言えば、「クワーイ」(水牛)の「のろい、愚劣、馬鹿だ」というイメージ同様、「犬」と同等だと言うだけで、「最低な生き物」の代名詞となる。
というわけで、この『サンダーン・マー』という言葉も、我が家の中でも、特に口の悪い父親や長女でさえ口にしたことがなく、私の記憶の中では、あの9年前の兄妹の言い争いで聞いただけだったと思う。
これから、一ヶ月弱の中間休みを過ごし、新学期が始まったら、今度はまたどんな言葉を覚えてくるのか・・・。
いつまでこういう言葉を躊躇せず発するのか、心配とともに、実は内心、少し楽しみでもある。

タイ田舎生活の日常を描いた、姉妹ブログ『イサーンに埋没中』も併せてお楽しみください。
より深い日常タイ語への理解のために・・・ランキングに参加しています。

しかし、それとともに増えて来たのが、子供たちの間で使われる語彙の数々・・・・。
もともと、田舎の村立小学校の付属幼稚園なので、一歩足を踏み入れれば、そこはもう『イサーン語ワールド』。
一応先生方も気を遣ってか、外国人の私には、標準語のタイ語で話しかけてくれるので、授業中などはまさか、標準語で教えるだろうと思っていた私の予想とは違い、普段の会話もイサーン語なら、授業中はもちろん、保護者のほとんどが地元の村人なので、保護者会や各種イベントでの司会や挨拶も、バリバリのイサーン語で進行する。
そういう状況なので、ミックの中でイサーン語の語彙が増殖するのは自然の成り行きだが、それ以上に、子供同士の口喧嘩から得た成果か、ミックの罵詈雑言は日増しに凄くなっている。
まず、学校で友達同士が喧嘩したり、ふざけて言い争ったりしているのを、しっかり聞いてきて、家に帰ってきてから、我が家のメンバーでも特に口の減らない長女相手に、その復習をするのである。
たまには、一人芝居のように、独り言でブツブツ何かつぶやいていることもあるが、そういう時は決まって、イサーン語と罵声が混じっている。楽しい幼稚園生活を思い出して再現しているのかも知れない。
そこで、最近のミックの定番が、
「アイ・サット」である。
何か、気に入らないことがあると、すかさず吐き捨てるように、「アイ・サット!」。
兄弟げんかで、勝てないときも「アイ・サット!」。
父親に怒られて、気が収まらないときも「アイ・サット!」・・・・。
「アイ」は、標準語の「~野郎」「~な奴」の意味。
「サット」は、「動物」という意味だが、ここでは「畜生」と言った方がしっくり来るかもしれない。
日本語なら、「今畜生!」とでもいう感じだろうか。
これが出ると、我が家のメンバーは皆、「あ~あ、またミックの罵言が始まった・・。」と呆れ顔になる。
まだ幼稚園児だから許されるが、これがいい若者だったら、相手によっては命を落としかねない、見ず知らずの他人相手に簡単に発するべきではない、いわゆる禁句である。
そして、中間休みに入ったころから言い始めたのが、
「サンダーン・マー」。
これは以前書いた気がするが、私たちがここに越してきたばかりの頃、近所の兄妹の妹が兄に向かって吐いた罵声である。
私は、その頃意味がいまひとつ分からず、急いで辞書で調べたりしたものだから、今でもしっかり覚えている言葉なのだ。
「サンダーン」は、「性質」とか「性格」と訳されているが、ここでは「性根」と訳したほうが分かりやすいと思う。
「マー」は、カタカナ表記だと声調が分別できないので、「犬」か「馬」かはっきり分からないが、「犬」の意味の「マー」である。
「犬」はタイでは、飼い犬というより野良犬のイメージが強いので、「犬」と言えば、「弱いくせにすぐに吠え、ゴミ箱を漁り、いつもゴロゴロ寝ていて、あたり構わず発情し、人目も気にせず交尾する」・・・等々、とにかく野卑な生き物としての認識が強い。
普段、人間の一番近くにいる動物であるが、それと同時にタイ語で「犬」と言えば、「クワーイ」(水牛)の「のろい、愚劣、馬鹿だ」というイメージ同様、「犬」と同等だと言うだけで、「最低な生き物」の代名詞となる。
というわけで、この『サンダーン・マー』という言葉も、我が家の中でも、特に口の悪い父親や長女でさえ口にしたことがなく、私の記憶の中では、あの9年前の兄妹の言い争いで聞いただけだったと思う。
これから、一ヶ月弱の中間休みを過ごし、新学期が始まったら、今度はまたどんな言葉を覚えてくるのか・・・。
いつまでこういう言葉を躊躇せず発するのか、心配とともに、実は内心、少し楽しみでもある。

タイ田舎生活の日常を描いた、姉妹ブログ『イサーンに埋没中』も併せてお楽しみください。
より深い日常タイ語への理解のために・・・ランキングに参加しています。

Posted by バットニャオ at 04:51│Comments(7)
│罵詈雑言
この記事へのコメント
あーあ。今日のも、おもしろかったーーーー。こんど、コーケーン出身の彼に、使ってみるか(笑)
Posted by ユッキー at 2011年10月10日 09:52
ギャハハ、と知らず大爆笑。さすがは天下の痛快児、ミック君。
Posted by p at 2011年10月10日 11:58
ウチのK坊はまだOOダァ~と語尾をイサーンにするくらいです。
アイサットは ウチもトーサンのお気に入りなので いつか覚えられそうで怖いです。
先日「牛みたいに大きいね」と親戚のおじさんに言うのに「水牛」を使ったので かなり冷や汗ものでした。優しいおじさんで本当に良かった・・・。
アイサットは ウチもトーサンのお気に入りなので いつか覚えられそうで怖いです。
先日「牛みたいに大きいね」と親戚のおじさんに言うのに「水牛」を使ったので かなり冷や汗ものでした。優しいおじさんで本当に良かった・・・。
Posted by まき at 2011年10月10日 19:19
末恐ろしいイーサンワールドになって来ましたね!
ところで、ミックくん日本語はいかがなものでしょうか?
将来に備えて、お母様の特訓が必要ななってくるかもしれませんね!
ところで、ミックくん日本語はいかがなものでしょうか?
将来に備えて、お母様の特訓が必要ななってくるかもしれませんね!
Posted by チャンドラ at 2011年10月11日 18:02
★ 弱いくせに...のくだりはタイ人のことだと思ってしまいました。
Posted by ピヤポン at 2011年10月12日 00:10
ユッキーさんこんばんは!
言ってみるのはどうかと・・・。先に私のブログで「子供がこういうのを使うんだって・・」という前置きをしたほうがいいような・・。子供なら許されますが、大人が言うとかなりきつい罵言ですので・・。
pさん、こんばんは!
「痛快児」と呼ばれて、光栄です。人に拠っては「親の躾がなっていない!」と叱られそうなので・・。
まきさん、こんばんは!
「OOダァ~」は、ミックだけでなく、うち全体、私もいつも子供や主人に「○○してね!」というのに、「OOダァ~」と言っています。Kくんと同じく、語尾だけイサーン語な私です。・・とはいえ、私自身も、最近はタイ語とイサーン語のちゃんぽんが多くなってきました。ときどき、息子に「それ、イサーン語だよ。」と指摘されます。
それにしても、旦那さま、とてもこういう言葉を使う方には見えなかったので驚きです。
チャンドラさん、こんばんは!
ミックは、はっきり言って、生後から押しかけ乳母(義姉)の手によって育てられたようなものなので、基本的にタイ語オンリーです。
私はとにかく触れ合う時間が限られていて、夜閉店後か、ミックを送迎する時間くらいしか、二人の時間はなくて、今まで日本語も諦めてました。
でも、最近は少し「日本」とか、「日本語」とタイの区別が出てきたので、少しずつお風呂の時間や送迎の車の中で教えたりしていますが、バイリンガル・・は無理でしょう。少し日本語の単語を知っている程度になればいい所かな・・と思ってます。
ピヤポンさん、こんばんは!
「弱いくせに」・・・、ピヤポンさんのタイ人男のイメージですか?
そういえば、ピヤポンさんのところは洪水の被害はないのですか?
言ってみるのはどうかと・・・。先に私のブログで「子供がこういうのを使うんだって・・」という前置きをしたほうがいいような・・。子供なら許されますが、大人が言うとかなりきつい罵言ですので・・。
pさん、こんばんは!
「痛快児」と呼ばれて、光栄です。人に拠っては「親の躾がなっていない!」と叱られそうなので・・。
まきさん、こんばんは!
「OOダァ~」は、ミックだけでなく、うち全体、私もいつも子供や主人に「○○してね!」というのに、「OOダァ~」と言っています。Kくんと同じく、語尾だけイサーン語な私です。・・とはいえ、私自身も、最近はタイ語とイサーン語のちゃんぽんが多くなってきました。ときどき、息子に「それ、イサーン語だよ。」と指摘されます。
それにしても、旦那さま、とてもこういう言葉を使う方には見えなかったので驚きです。
チャンドラさん、こんばんは!
ミックは、はっきり言って、生後から押しかけ乳母(義姉)の手によって育てられたようなものなので、基本的にタイ語オンリーです。
私はとにかく触れ合う時間が限られていて、夜閉店後か、ミックを送迎する時間くらいしか、二人の時間はなくて、今まで日本語も諦めてました。
でも、最近は少し「日本」とか、「日本語」とタイの区別が出てきたので、少しずつお風呂の時間や送迎の車の中で教えたりしていますが、バイリンガル・・は無理でしょう。少し日本語の単語を知っている程度になればいい所かな・・と思ってます。
ピヤポンさん、こんばんは!
「弱いくせに」・・・、ピヤポンさんのタイ人男のイメージですか?
そういえば、ピヤポンさんのところは洪水の被害はないのですか?
Posted by バットニャオ at 2011年10月20日 02:49
とても面白い。また読ませてください。
Posted by ninja at 2012年01月19日 15:49