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2012年05月09日

奇跡?

 前回からの続きで、長女の高校受験の話である。

 今月の2日に受けた、県内のチャイヤプム女学校(今は事実上共学だが)の受験結果発表は今日9日に発表されるはずだったのだが、すでに昨日の昼過ぎにはウェブ上で発表されていた。
 
 こういうところが適当なのが、さすがタイの学校である。

 という訳で、今日ドキドキで見に行くはずだった受験結果は昨日の午後には判明してしまったのだ。

 結果はと言うと…。

 ネットで合格者名を閲覧していた長女が、「あ!○○!受かったよ〜!あ、××も。理系クラスに名前があった。」などと一喜一憂していた。
 私には、その長女の友達たちが受かったという事自体、「本当に?そんなに簡単にみんなが受かるのか?それとも、彼らはこの休み中に必死で勉強したのかも?」などと思っていた。

 そして、肝心の長女はみんなが合格する中、友達の合格を喜びながらも、自分の名前が見つからないのに焦っていたようだった。


 ところが、「ええっ!!!」
殊更大きな叫びを上げた。

 「あった!私の名前が!IEPクラスの3番だって。あ、ダー(親友の名前)もある。4番だよ!」


 これを聞いた私は、我が耳を疑った…というか、何かの間違いでは?と思ってしまった。

 自分の娘の合格をこんな風に思う親なんているのかと思われるかも知れないが、この一年というより、この受験直前でさえ、長女の生活は普段とまったく変わりなかった。

 日本で「受験勉強」と言えば、どんなに遅くても夏休みくらいには誰もが真剣に猛勉強に励んでいると言うのが私の受験に対する固定観念だった。

 ところが、タイの田舎の学生は、そういう真剣さがまったくない。
 
 何年か前、我が家の子供たちより数年上の義姉の息子が受験したときも、試験の前夜になって少し勉強をしているというので、受験する気がないのだと思っていた。
 
 日本だったら、中間期末テストの前だって、何週間前からとかテスト勉強するに決まっているのに、一生を左右するかも知れない入試の前に何の勉強もしないのだから、呆れて物が言えなかった。

 ところが、自分の子供たちがそういう年齢になるにつれて、タイの田舎の子供たちは、これが普通なのだと理解するようになった。

 
 来年、大学受験を控えている長男は割といろいろ考えて行動するタイプなので、自分なりに物理や化学の勉強に力を入れていて、皆が行くような、俗に「サマー」と言われる夏期講習にこそ行かないが、家の仕事の手伝いの合間に本を広げて受験勉強らしきことをするようになった。


 ところが、今年元の学校に残る事を止めて、新たに受験することにした長女は、朝から晩まで、店の手伝いも多少はするが、暇さえあればモバイルでネット。
 そうでなければテレビの前に陣取って、ダラー•カオリー(韓流スター)が一日中出ている韓国チャンネルに釘付けになっている…という様子だった。


 「少しは勉強したら…。」という私の言葉も虚しく、少し受験用の本など開いても、5分もしない間に閉じられている。
 今まで勉強したことが分かっていないので、何を勉強したらいいのか分からない…と言った状態のようだった。

 だから、前回にも書いたように、タイ人お得意の「セン」を使うことしか考えていない様子だった。

 
 そして、私同様に呆れていたかどうか分からないが、とにかく長女を前の学校に通わせたくない主人は、長女の言うように、「義母の近所のセン」「主人の友人の母のセン」(地元の有力者で県内の婦人会長などの関係で有力らしい。)に加え、「店の客で父親が元校長で、その兄弟が国会議員だという人のセン」まで取り揃えて、何が何でもその女学校に入学出来るように準備をしていた。

 私は、何で長女の受験に婦人会長や国会議員の弟まで出て来るのか…と更に呆れたが、使える者は何でも使え、これがタイ式なのだから仕方ないと放って置いた。

 
 そうして、今日の発表の結果を見に行って、結果がダメなら(誰もが無理だと思っていたが)まず、バンコクから戻って来ている義母の近所の校長の娘に学校まで来てもらって、その知り合いに頼み込むはずだった。
 万が一それがダメな場合は、次の主人の友人に電話して…と主人と長女の中で計画が準備されていた。

 ところが!である。
 何の間違いか、長女の神頼みならぬ仏頼みが通じたのか、奇跡は起きた!

 まあ、私としてはタイの田舎の学校のレベルがこんなものなのだと思ってはいるが…。
学校で先生が教える内容の半分以上が理解出来なくても、テストではなんとかほどほどの点数が取れてしまう。
 前の長女の学校などは、テスト前に先生がテストに出題する問題をプリントして配っていると言うのだから、生徒も努力する必要も無くなるのだろう。
 
 いずれにせよ、タイの中で生きて行くには、このぬるま湯生活でもやって行けるのだから問題ないのかも知れない。



 結局、主人が周到に準備したいくつもの「セン」は使われることなく終わった。


 しかし、私としては喜んでいいのか…と複雑な気分である。
 
 もちろん、「セン」など使わずに入れたことは喜ぶべきだが、こんなに何の勉強もしないで入れてしまうのでは「努力」ということの価値を知らずに成長してしまうように思う。

 しかしこの「努力」と言う言葉自体、もともとタイに於いてはあまり意味の無い言葉である。
 皆、「努力」より「幸運」と言う言葉を好む。
苦労して手に入れた結果より、幸運で飛び込んで来る結果の方を好む。
 苦労は嫌い、楽して得するのがタイ人のモットーである。


 まあ、それはさておき、この「幸運」で受験を通り抜けた長女が、主人をはじめ、家中の皆が願っているように、レベルの上がった学校の級友に刺激され、自分の将来のために、勉強に目覚めてくれる事を願うばかりである。

 親が一生保護者でいられるならいいが、そうは行かない。
いつかは、誰もが自分の足で歩き、自分の頭で考えて行動しなければならないのである。

 高校一年生。
 かつての自分もまだまだ子供だった気がするが、少しずつ自分で判断出来るようになって欲しいものである。
奇跡?


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Posted by バットニャオ at 07:35│Comments(8)タイの学校
この記事へのコメント
おめでとうございます。拝読していてこちらも楽しくなりました。ありがとうございます。
Posted by p_tak at 2012年05月09日 20:36
こんばんは。(ご無沙汰してます。)
まずは、合格おめでとうございます。

やはり環境に左右されますね。
自己が努力をしようとしても、環境がそうさせてくれないのか。
日本は、(学校へ)入る前の受験へ向かって全力投球の、努力を傾注する。後は野となれ山となれ。
タイは、流れなんでしょうか。自然の流れに逆らわずに。
 しかし、逆流や濁流に巡り合った時の用心と、対処の方法は普段の修練の結果でしょうから、少しづつは準備が必要でしょうね。
Posted by 阿羅漢 at 2012年05月09日 23:15
ばんざ~い☆☆☆
入学おめでとうございます。
センの力を使ったら、お子さんの一生がセンに縛られてしまうから。
この結果はすごく嬉しいです。
睡蓮の花の写真も美しいですね。
Posted by チャンドラ at 2012年05月10日 18:33
☆ うちも来年は娘が受験になりそうです。
Posted by ピヤポン at 2012年05月10日 21:57
結果良ければすべて良し!
でも、一段高いレベルの環境なので、落ちコボれないようにふんどしの、いや兜の紐を締め直してほしいですね。よかった、よかった。

今回は、それにつきます。
Posted by muga at 2012年05月10日 22:59
あの読書家のお姉ちゃんですね!おめでとーございます!

いやはや タイ・・・本当にサバーイサバーイの国ですよね。真剣に努力する方がバカを見るみたいな感じすら覚えます。前 日本語を教えていた時、テスト日に 大雨で来ない子がいて ブチ切れたのを思い出しました。日本の子は 雹が降っても来るんだぞと。あまりピンときてる風でなかったですが。
コネもタイだとあまりに堂々としていて 子供の方も”親のコネがある=すごいことなのだ→自慢”になってますよね。


お姉ちゃん セン抜きで合格!これは やっぱ ケーキでお祝いです!

そうそう、Kの入試結果もネットで出るというので日曜からスタンばっていたのに結局週明けまで出ず・・・学校まで足を運び 掲示板で豆つぶのようなKの名前を見つけるという結果発表方式でした。いいかげんな情報をながさなきゃいいのに・・・。
Posted by maki at 2012年05月15日 17:10
勉強とか努力とかは、明治になって兵隊を訓練する為に発明されたものではないのですか?
 だから、不幸へ続く道なのです。
 今の日本を見れば納得。

 と、タイに長く居る私は思ってしまいます。
Posted by ms at 2012年05月22日 18:34
p_tak さん、こんばんは!
私事で、すみませんでした。
こんな毎日を送っているという日常なので、軽く読んでください。

阿羅漢さん、こんばんは!
そうなんでしょうね。環境と言うか、習慣というか、小学生時代から試験=勉強にはならないようです。


チャンドラさん、こんばんは!
まったくその通りです、入れないのもかわいそうだけど、実力で入れないのに、入っても…という気はしていました。
とりあえず、良かったですが、あとはもっと頑張らないと。

ピヤポンさん、こんばんは!
来年ですか?高校?中学?おいくつでしたっけ?

mugaさん、こんばんは!
そうなんですよ、一段レベルが上がったので、今夜も山のような宿題に頭を抱えています。

maki さん、こんばんは!
そうなんですよね。
タイ人ってコネを自慢する、いい事じゃないのに、って思うんですが、タイ人にとってはステータス?何だか、歯の矯正に似た感じがあります。


msさん、こんばんは!
何だか、非常にタイ化されているようですね。でも、今日のタイ国会中継を見たら、やっぱりこれじゃ幼稚園レベルだな…と思ってしまいました。タイ人にも忍耐とか努力とか必要かと。
Posted by バットニャオ at 2012年06月01日 01:09
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