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2012年06月11日

無理難題

 子供たちの新学期が始まってから、そろそろひと月が経つ。
 
 学校の授業も軌道に乗って来たようで、毎日宿題が山積みの子供たちである。
 
 今年から、高校になった長女は英語、フランス語、中国語の宿題に頭を抱えている。
 

 いつも先取りで宿題を済ませてしまう中2になった次男が、どうしたことか、今日は夕方から仏頂面である。


 理由を聞くと、地理の宿題で「Google earth」などを使って、生徒の自宅の屋根の写真を提出しろという事なのだと言う。

 ところが、次男がどう検索しても、どうしても自宅の屋根が明確に出て来ない。
広範囲の写真では、交差点が見えて、大体その付近だと言う事が分かるのだが、それを拡大して、我が家の建物の屋上を見ようとすると、どんどんピントがぼけてしまう。

 検索の仕方が悪いのかと、私も詳細を入れてみたが、どうやっても出て来ない。

 試しに私の実家の住所を入れて見たら、懐かしい家の屋根まではっきりと出るではないか。

 ならばと、子供たちの通っている学校のある県中心部を検索して見たら、やはりピンぼけもなく見られた。


 そして、そこから我が家の方に移動して見た。
すると、そこから我が家に行く道と、主人の実家に行く道が分かれる「ノーンハイ5叉路」に着くかどうかの辺りから、急にモザイクが入ったようにぼやけ始めた。


 何のことはない。
単に我が家が県中心部から遠く離れた田舎だから、その重要性の低さが表れただけの事だったのだ。

 そう、つまり地図に載せてもらえないような田舎だという証拠なのである。

 実際、この辺りの詳細地図なんてないのだろうと思う。
何しろ、お役所が管理する土地の見取り図でさえ、我が家の隣の三角形の区切りが実際の土地とは違っていた。

 こんな調子なので、誰もこんな田舎の詳細地図など作る人もいないのだろう。

 
 結局、次男の宿題「自宅の屋根の写真を印刷して提出」と言うのは、次男の能力には関係なく、自分で飛行機やヘリコプターでもチャーターして上空から写真でも取らなければ、永遠に提出不可能な無理難題なのだと言う結論になった。

 しかし、学校の提出物に穴を開けたくない次男は、その夜も遅くまで何やら試行錯誤していたようだ。
 私には、無駄な努力だとしか思えないのだが、若いうちは何事も経験してみないと気が済まないらしい。
自分で納得するまでやるしか無いのだろう。

 それにしても、タイの学校の先生は変にこういう、パソコンを使った宿題に頼りすぎている。
 私が、以前の保護者会の意見に書いたように、
 「先生の出す宿題は、何の教科にしろ、子供のパソコンの活用能力を試しているのか、それとも、街のネット屋を儲けさせたいのか?」と言うのが皮肉でもないほど、ネットで文献や資料を探し、それを印刷して冊子にして提出と言うものがほとんど毎日出る。

 私に言わせれば、先生は一応仕事なので宿題を出さなければいけないが、考えるのが面倒なので、何も考えずにとりあえずテーマだけ決めて、生徒がそれを探して印刷して提出…と言うだけのような気がする。

 実際、うちの次男はほぼ毎日、様々な教科の宿題で、ネットからプリントアウトし、それを文具屋に持って行き、簡単な製本をしてもらう…という作業をするので、その度に毎日、数十バーツから百バーツ程度の出費がある。

 たまにならいいが、毎日のようにこうして出されると、その出費もバカにならない。
 普通なら図書館で調べて自分で纏めるか書き写すくらいの事をしないで、宿題と言えるのかと思う。
  
 まあ、一歩譲って時代の流れだとしても、ネットで調べてそれを自分で読んで纏めればいいのではなかと思う。それが勉強と言うものだろう。

 その課題のテーマを探して、そのページを読みもしないでそのまま印刷…では、生徒の頭にも残らないし、先生もその大量の提出物をどうすると言うのだろう。
返却もしないし、古紙としてゴミ屋にでも売っているのか?

 生徒のためにもならない、先生が楽をするためだけの宿題。
タイの学校のこういう内情を垣間みるだけでも、今後のタイの将来に期待は持てないなと思う。
 それでも、そういう子供たちが大人になって何とか生きているのだから、タイで暮らす分には、それほど深刻に考えなくてもいいのかも知れないが…。



無理難題

 




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Posted by バットニャオ at 03:22│Comments(7)タイの学校
この記事へのコメント
高校生で「英語、フランス語、中国語」の宿題ですか。タイはすごいですね。

「無理難題」といいますか、「摩訶不思議」な宿題ですね。ちょっと意味が判らない、宿題です。

そうです、ここは、タイ国です。タイ国流の勉強方法なのかも知れません。(でも、チョト変ですね。)

「タイで暮らす分には、それほど深刻に考えなくてもいいのかも知れないが…。」

 です。
Posted by 阿羅漢 at 2012年06月11日 13:36
ネット時代になりましたからね。

学校先生の知識よりもgoogle先生の方がはるかに膨大な知識ですから。それがいつでもどこでも引き出せる。先生の御機嫌が悪い時には質問できない、なんて時代は過ぎ去ったのです。
すでに要求される勉強方にも革命が起こってるのかもしれませんよ。

今後、詰め込み教育は意味なし!なんてね(笑)

それよりも、知識を引き出す能力と、それを組み合わせて説明する、或いは作り出す能力の方が遥かに重要視されるのかもしれませんね。
Posted by muga at 2012年06月12日 11:59
タイの学校教育は進んでいますね。
パソコン駆使してますし、語学も満載で!
感心します☆☆
お金を借りたことすら忘れた友達の息子も、とうとうパイロットになりました。
私のお金でなったようなもの?とまでは言いませんが!留学ばかりしていましたよ。
Posted by チャンドラ at 2012年06月13日 17:11
☆ 最後の文と夕日の写真に、物悲しさを感じますね。
子供の教育は親が行う必要があるということでしょうか。
Posted by ピヤポン at 2012年06月15日 08:22
「タイで暮らす分には、それほど深刻に考えなくてもいいのかも知れないが」:

ぼくも、競争、競争で、追い立てられるようにして生きてきたけど、今となってみると、なんであんなにアクセクしなければならなかったのかと思うことばかりです。

最近はすべてについて「まあーいいじゃないの。そんなことどっちでも。」と考えるようにしています。だからタイに惹かれるのかなあ。
Posted by p_tak at 2012年06月15日 22:18
阿羅漢さん、こんばんは!
大した内容ではないのですが、ミックの通う村の幼稚園でも、英語の初歩は教えています。
まあ、発音はタイ人発音だし、まだタイ文字もろくに書けないので、アルファベットの文字もなぞっているだけなのですが。
小学校や、中学校では中国語が必修のところも増えているよううです。政府の政策らしいですが…。

muga さん、こんばんは!
確かに詰め込み教育も問題ですが、単なるネットのコピー課題は、親の金銭的負担が増え、子供がネットカフェなどに出入りする口実になるだけで、何の意味があるのか分かりません。ネットから引き出した情報を自分で整理したり、応用したり…というのなら話はわかるのですが。

チャンドラさん、こんばんは!
タイのエリートは金がなければなれないとまで言われてますから、その友達の息子さんは、チャンドラさんのお金でパイロットになったと言っても言い過ぎではないと思いますよ。
試験で面接に残っても、そこでいくら出せるかで、採用が決まると皆言ってます。


ピヤポンさん、こんばんは!
本当に当てにならないタイの学校ですが、それでも社会が成り立っているのは、やはりタイにいるからでしょうか。

p_tak さん、こんばんは!
確かに、あくせく勉強して、働いて…という生活も、タイのような価値観を覚えてしまうと、何だか無駄だったような気がすることもありますね。昔、タイで牛飼いのおじさんを見た、今は亡き父が言ったことがあります。「あのおじさんは何を考えて生きてるんだろう、牛を放牧して、それをぼーっと眺めて。」とつぶやいたことがありましたが、60余年を家族のためにあくせく働いてきた父が、ふとそれまでの人生に疑問を感じた、そして、その牛飼いの生き方を否定することで、自分の人生を肯定したかったのかも知れないと思いました。
Posted by バットニャオ at 2012年06月27日 03:34
時代は変わりましたね、ネット検索して提出・・・。先生 楽しすぎです。先生は採点が間に合わないっ!ぐらいが先生らしくていいのに。

こちらの学校は(小1)、毎日宿題を出すのはいいんですが、赤ぺんなし 息子になんで提出しないのか!と怒ると なんのことはない、先生は50人のそれぞれの科目ノートをチェックできないから はじめから出しっぱなしの宿題なんだそうです。
先生から「家でお母さんチェックしてもいいです」と。試されてる?これ いつまで続くの?タイ語の宿題は見れないのよ!って言いたくなりましたが。そのうち ネット検索 コピー型の宿題にならないといいなぁ。
Posted by maki at 2012年06月27日 16:23
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