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2010年10月08日

タイの子供たち

 今日は、タイ語関連ではないのですが・・・。


 期末テストも無事終わり、十月になって、多くの学校は中間休みに入っています。
都市部の私立学校などは、一ヶ月前後休みになるところも多いようですが、我が家の子供たちはそれぞれ地元の公立に通っているので、ごく普通の休み期間です。

 さて、この休み中に、ここイサーンの田舎の村から、バンコクの大学の期末試験を受けるために上京している子供がいます。
彼は長男のクラスメートで、長男と同じ高校2年生なのですが、年齢制限なしの教育を推進しているバンコクのラームカムヘーン大学で、通信大学のような、土日の通学と、長期休み中の試験で大学の授業を受け、高校卒業までに大学卒業資格を取ってしまおうという計画を立てている、実に計画性のある子なのです。


 その彼が、そこまで計画的になったのは、もちろん持って生まれた性格もあるでしょうが、その育った環境も大きいようです。

 長男と彼の通っている高校は、ここイサーンの地方都市のチャイヤプムでは中心部にある進学校なのですが、長男もその友達も、そこから何十キロと離れた田舎からその学校に通っています。
うちはまだ片道30キロの距離なのですが、彼の家はここから更に20キロほど離れた、田舎の小さな村にあります。
 
 彼が通った小学校というのは、よくある田舎の村立学校で、男の子たちは学校にナイフ持参で登校(決して、果物を剥くためではありません・・。)、タバコや飲酒(小学生ですが・・・)も日常茶飯事、小学生の女の子が妊娠したという話も珍しくない学校だったそうです。
 同級生たちの多くは、小学校も卒業しないうちに遊び歩き始め、出席日数が足りないので年齢に達しても卒業も出来ず、そのままフラフラ遊んでいるうちに、彼女が出来た、彼氏が出来たとなるそうです。
そして気がついたら16歳くらいで子供が出来てしまい、そのままどちらかの親の元で同棲。親も仕方が無いので、一台10万バーツほどのロット・イテーン(タイの農業用トラック)を買って与え、それで自分たちの生計を立てるように言い、若すぎる夫婦には自分たちの親と同様の、厳しい農業で生活をすることになる・・・というのが一般的なパターンだそうです。 
 
 そんな環境で、彼は一人「このままではいけない」と将来の計画に目覚めました。
彼は、この6年以内に大学卒業資格を取得し、高校卒業後は博士課程に進み、数学の教師になるのが希望だそうです。
そして、この年頃の多くの少年が関心のある「女の子」に関しても、「まず、将来のための勉強が最優先、彼女は就職が決まってから、みつければいい。」と、まるで、青少年の鏡のようなことを言うのです。
 
 タイの全ての子供たちが、皆、この彼のように計画的だったら、タイの将来は明るい希望が持てることでしょう。
それに、わざわざつまらないデモ騒ぎを起こして、観光収入に大幅に頼っている自国の経済を、さらに悪化させるような人もいなくなることでしょう。 
 しかし、バンコク周辺にいる一部の教育熱心な家庭の子供たちを除いて、かなりの割合で、タイの子供たちの中には、彼の通っていた小学校にいたような、義務教育も終了しない子供たちがいることも事実です。

 バンコクやその周辺には、インタースクールや名門校もたくさんあり、タイの教育水準はだいぶ上がったようにも見えますが、それは、タイの富裕層と貧困層の格差と同じで、高学歴な人は驚くほど高い教育を受けており、逆に学歴のない人は、自国語でさえ、まともに読み書き出来ない・・・という格差があります。

 多分このブログを読まれる日本人の皆さんの多くは、タイ人の中でも高学歴者との交流が多いと思われますが、タイの田舎では、イサーンに限らず、南部の漁業生活を送る人たちなどにも、こうした義務教育を卒業せず、親の手伝いで学校を中退する子供たちは少なくないようです。

タイの子供たち


                  タイの将来を担う少年、man君



 私が彼くらいの頃は、日本では「モラトリアム人間」などと言う言葉が流行り、大学に入学しても特に目的も持たずフラフラしている人が多くいました。
私も例にもれず、「タイに関係する仕事がいいな・・」などとフラフラしていたら、こうなってしまいました。
 もし、彼のようにはっきりとした目的を持っていたら、今、私はこのイサーンにはいなかったかも知れません。


  



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Posted by バットニャオ at 01:21│Comments(7)タイの社会
この記事へのコメント
☆ いい話ですね。
そういう人が増えて欲しいですね。
でもそこの家庭はどういう環境なのですか?
Posted by ピヤポン at 2010年10月08日 06:41
こんにちは。現実ですね。
私の希望ですが、一人でも横道にそれることが無いように、人を助けていけたらと思っています。
そのための『日本武道』です。
頑張ります。
Posted by 阿羅漢 at 2010年10月08日 13:36
「モラトリアム人間」懐かしい言葉でした!

 友達の子供達はチュラロンコン大学に進みました。(アメリカやフランスにも留学してました)
 でも親は借金だらけで自転車操業なのに、子供達に「お金ない」なんて口がさけても、一生言えない見得張りです。
 それに比べるのも失礼な話ですが、今日のお話を読んで、地に足をつけて生きる立派な少年の話に感銘を受けました。

 
Posted by チャンドラ at 2010年10月09日 01:31
ピヤポンさん、こんばんは!
最近「☆=白星」コメントが多いですね。
そういえば、彼の家庭環境を書き忘れました。
彼の両親は畑や田んぼを作り、牛を飼うなどの農業で暮らしています。
ちなみに、以前は土日の牛の世話はこのman君が全部していたそうです。
彼には姉がいて、看護婦をしているそうで、彼の将来についての良き相談相手になっているようです。


阿羅漢さん、こんばんは!
そういえば、道場の方は完成しましたか?
ここチャイヤプムで「日本武道」を広げられるよう、ご活躍をお祈りします。


チャンドラさん、こんばんは!
なんだか、同世代でしょうか?
この言葉に懐かしさを覚えるなんて・・。
「モラトリアム」横文字で格好よく呼ばれていましたが、単に「将来を深く考えられない若者の言い訳」のような気がしていたことを思い出します。
Posted by バットニャオ at 2010年10月13日 01:43
もとの勤め先で雇用するのは「性格がまじめそうでいい子」というのが一番大きな基準だったので、人によっては中卒とか、高卒でも「コー・ソー・ノー卒」という子が混ざっています。現在スーパーバイザーとして活躍(?)しているのがそのコーソーノー卒の一人で、学歴と資質のよさと、頭のよさ(賢さ)はあんまり関係ないんだけど、タイ社会では学歴がいい人ばかりが優先されているな、とつくづく感じます。

ここ数年は面接しても短大卒とかの子は、一人っ子で学費も全部親が出してくれて、一切苦労せずに学校出ている子もいて、イサーンといってもイメージが違ってきています。そういう子はあんまりもたないんですけどね、会社勤め…。
Posted by NAPPY at 2010年10月13日 10:50
久しぶりに拝見したら、感激しましたし、うちの子と比べていました。
知り合いの子供に送金していますが、このように勉強して自分の環境を変えて欲しいことが希望です。
でも、受け取っているのはおばあさんで、どのように使われているかは、不明です。
タイに居る間と、子供がこの話のように勉強できる環境にある間は、続けたいと思います。
信じていれば、そのうち通じるでしょう。
子育てがんばってください。
Posted by fon at 2010年10月16日 11:45
富裕層、貧困、この差はいずれ日本も出てきそうな問題。。。
Posted by 相互リンク「ダンスリンク」 at 2010年10月18日 14:33
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